クリスマスローズ 2025 :ベーテル花ブログ

 

クリスマスローズ 2025

 

2025/02/12

ベーテル花ブログ

 

 

 ベーテルのクリスマスローズは気の毒な状態になっている。典型的な紫色をとある患者さんと一緒に種から育てて二百鉢以上育苗した。相当に大柄となったが狭い境界に並べてあり、十年以上も半ば放置状態だ。相当数を山際に植えたが、それでも多くが行き場所がない。おねだりする方もいらっしゃれば幸い。

 そんな中、時折にスタッフ含めてプレゼントしてくれた幾鉢かが今年も立派に咲き誇っている。これを書き留めておきたい。暖冬ながら、積雪が重なったが折れもせず健気に咲いている。12月に古い葉を切り取り、花芽が目立つようにした。それからふた月、立派になった。とはいえ、プランター鉢の表面は指先を弾くほどに硬くしまり、植え替えをしてあげられなかったんだと悔やむ。そうであれ、ハンス・バーガー協会の園芸班が水遣りを怠らず枯らすことなく花を咲かせてくれた。陰の功労者である。なにせ私たちは専業園芸家ではない。

 さてはて、早生種となるベーテルのクリスマスローズの写真をどうぞご覧ください。

<余分な一言>

 一年中ベーテルを花で飾りたいというファンタジーはそう手軽なものではない。一年中にこだわれば、一言では冬に咲く花を準備できればよい。二つ目には来年もまたと欲張れば、一年草を除けば、冷涼地のこの地で入手できるものには限りがあって、かの地で咲いたものは温室を用意して凍死しないようにする。これは言うほど簡単ではなく、すぐに見分けがつかないものも、今の時代インターネットである程度調べることができる。

 さて、その名も冬の花、クリスマスローズだ。ベーテルカレンダーでは幾度となく採用された人気の花だ。生息地は諸説あるようだが、私どもはバルカン半島の森の下で咲くと教えられ、大事に育てるには夏の日差しの直射だけは避けてきた。全く的はずれではなく、トルコばかりかグルジアも含まれる。学名はヘレボルスだ。

 クリスマスローズの名付けはイギリスで、冬のバラ。昔話まであり神話化している。花色が白、緑、アズキ色(濃紫)なので目立たないことも逆に幸いしているのか、あるいは冬はクリスマスローズを小輪のバラに見立てたらしい。バラの花も幾つもあるから、花の形からとは言いにくい。原種系ニゲルの白色系を中心にいくつかの系統の交配種として新品種開発が盛んだ。日本でも愛好者が多く、熱心な園芸会社、育苗家、日本協会を筆頭に人気が増している。各地で展覧会も開かれ、園芸店もブースを設ける。10年以上前、当方もサンシャインを訪れる機会に恵まれたこともある。そうなので、ローズ張り、バラ好きもひどく凝ることになるから、クリスマスローズ好きも大概にした方が良いと決めてから始めた方がよい。大変なことになる。

 クリスマスローズは下向きだ。だから、これを先ず上目使いに持ってくる。ついには上向きとする。一重から二重、ロゼット咲き、アネモネ咲き、多弁系を作り出す。花数が少ないのも特徴の一つだから、豪勢な花鉢にするのは王道ではないとみなす方も多かろう。小さな鉢に一輪だけというのも気品がある。いずれ、クリスマスローズの花は、美少女の首を持ち上げるようにしなければ、まともに顔容を確かめられない。大変に失礼な仕草となるが、そっと抱くように持ち上げて、「今日は、おはよう」、「お目覚めですか」とご挨拶しよう。

 クリスマスローズの花は学術的には実は花弁ではなく花萼という。いつまでも咲き続けている理由だ。花弁は花芯から出ていて、真ん中の雌しべを取り囲むように飛び出した多数の雄しべを守るように半さや状の短い花弁が外周に並んでいる。

 さて、当方は色合いまでは口を出さないが、緑花のクリスマスローズにも魅了されている。葉色も輝き花茎も太く、ひときわ威勢が良い濃紫の、花付きもうるさくない種類も別嬪で、風格を伴う。一方、真っ白が純となれば、それもいい。花芯付近がスポッティなピコティから、花萼の内外がリヴァーシブルなものもワンポイントのお洒落だ。ブロッチとなれば更に目立つ。

俯いて幸せそうには見えない冬の妖精も、妖精だからこそ自由に飛び交って、真冬の希望、幸せを魅せる。(Drソガ)