強制不妊訴訟の補償法施行、本末転倒話し 国は小面倒な事務作業を自治体に押しつけた、という理屈

2025/01/20

 

ブログ 優生保護法

強制不妊訴訟の補償法施行、本末転倒話し

国は小面倒な事務作業を自治体に押しつけた、という理屈

 

1.     遠藤大志. 強制不妊「補償通知、一律は困難」−宮城・村井知事「丸投げ」国を批判、原告ら集会で訴え「救済は漏れなく、そして早急に」. 毎日新聞、2025116日、19.

2.     福留庸友. 強制不妊の補償通知、「自治体任せ」と批判、知事「国がやればいい」.朝日新聞、2025116日、17面.

3.     河北新報.強制不妊補償「個別通知しない」、宮城知事「プライバシー配慮変えず」.2025116日、3面。

4.     河北新報.強制不妊補償法が施行、被害者へ1500万円支給柱−仙台弁護士会、電話相談11件、きょう以降も開設.2025117日、2面.

5.河北新報.強制不妊補償の窓口開設、県きょうから「手続き、弁護士支援」、被害者らへの個別通知せず、知事方針に弁護団抗議−仙台.2025117日、10面.

6.阿部育子.プライバシー理由−補償回避許されぬ、強制不妊弁護団−知事発言を批判.朝日新聞、2025117日、21面.

7.阿部育子.強制不妊−弁護士が申請支援、「補償金支給法」きょう施行、国・自治体周知に課題.2025117日、27面.

8.阿部育子.県、強制不妊の補償金めぐり、個別通知方法「慎重に検討」、弁護団「当事者として対応を」、全国で2と目、請求期限5年.2025118日、25面.

9.藤井克徳(聞き手・森本美紀).強制不妊生んだ多くの「なぜ」検証を、つかめぬ被害実態−形変え続く政策、優生思想の過ち根絶へ−規範作って.朝日新聞、2025117日、19面.

10.毎日新聞.強制不妊補償法が施行、請求期限5年−全被害者救済課題.2025年1月17日、22面.

11.河北新報.首相謝罪「着実に補償」、強制不妊全国で申請始まる.2025118日、1面.

12.河北新報.強制不妊補償法施行「謝罪一人一人に」、支援団体など県に要望.2025118日、10面.

13.川野由起.強制不妊−原告らと面会、すべての被害者への補償を求める.朝日新聞、2025118日、29面.

14.総理の一日.石破総理は旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団等と面会しました.首相官邸ホームページ、2025117日、https://www.kantei.go.jp

15.内閣官房.障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部の設置について.閣議決定、令和6726日閣議決定、令和61224日一部改正.https://www.cas.go.jp>seisaku>kyouseishakai

16. 内閣官房.障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(令和61227日障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部決定.https://www.cas.go.jp>seisaku>kyouseishakai

 

2025116日の前回ブログで述べたが、1月17日に石破首相と強制不妊被害者原告らと全国弁護団との面会の予定をお伝えした。首相面会は予定通り117日の夕刻に行われ、当方も官邸から提供されたホームページ上で公開映像を視聴することができた。のだが、被害者らの第一の要請である全被害者への被害賠償実施に事前に早くも暗雲が漂いはじめていることが伝えられてきた。施行日2日前715日、その昔に直接に手を下した地方自治体行政を後継する現在の長が興味深い反応、というよりは主張を披露した。国会で満場一致で採決された補償金等支給法の事務作業は国がやれ、と言い出した。目障り耳障りな記事内容だった。定例記者会見の体裁を当方は知らないが、施行日の直前でもあるので、支給に関する事務作業の負担に言及するのも仕方ないと聞き捨ててもよかったが、被害者としての県民は知られただけでも1406名いらっしゃるし、なぜか資料まで欠落している時期があることも発覚していて、精確な被害者数も把握されていないのだ。この場合、自治体長の元来の務めとして、まだご存命である被害者はもちろん、不明者含めて被害者県民に対し自ら直接謝罪し、県議会でも同じく謝罪しようと図るのが元来のお仕事であるはずだ。会見では、困った風を装って、実はね、職員が大変なのだよと言えば、当たり障りないのに、だ。補償金等支給法施行前日の毎日新聞の記事が詳しく、また各紙も継いだ。その後、各紙が116日の新里弁護士らの抗議声明を伝え始めた。ご本人等への一律補償通知を拒む理由としては常套用語のプライバシーへの配慮を持ち出している。この言葉は伝家の宝刀に勝る都合が良すぎる逃げ口上だ。これでは皆が怒り始めよう。当方も会見の現場にいてこの話を聞きたかった。前回のブログで危惧したように、被害者に漏れなく遅滞なく補償金が手渡されることがいかにも困難な作業となるであろうことは、こんな理由も一つ綻んでくるのだ。これから何が飛び出してくるかは知れたものではない。

 そして、717日の首相面会となる。新里弁護士は与えられた2分間で首相への要請主旨を手際よく話された。後段で都道府県と国の施行実施の対応に温度差があり、「悲しい思いをしている」と述べた。何のことはない。名指しを避けて地元自治体長の対応への危惧を伝えた。その自治体長は全国の長を束ねる立場にあり、一方では対国への意地の張り合い、あるいは補償金問題とは全く関係のない隠された意図があるのではと勘ぐりたくなる。いずれ、「悲しい」のお一言に尽きて、同感そのものだ。

なお、新里弁護士は首相に対し、あらゆる施策を取った上で全被害者に補償金が行き届き、最も大切な名誉を回復させるべく、施政方針演説に入れるよう要請した。

 

(補充)

 202473日の最高裁大法廷判決、強制不妊手術訴訟の原告全面勝訴のあと、当方も717日の時の宰相の面会も視聴できた。また幸いに時間を割けて82日、89日の全国優生連ならびに日弁連のシンポジウム等も視聴できた。併せて、108日の補償金等支給法(議員立法の焼き直し版)の国会成立の様子もしっかり聞けた。また、726日に閣議決定され始まった数回にわたる「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」とその幹事会の議事や議事録にも行き当たり、1227日にその行動計画が策定されたことにも通じた。

そんな折、強制不妊訴訟の最高裁大法廷判決に従った「国家賠償補償金等支給法」が2025年1月17日に施行されることになり、現在の首相もまた原告団等にお会いになられた。各TVニュースも1分ほどを割いて紹介している。官邸ホームページは、「総理の一日」に取り上げ、11分ほどの儀式が行われ、公開された。宰相は替われど、二度も宰相が原告団に挨拶なさるとは、最高裁大法廷判決も行政府にはまだ全く無力でないことに励まされたし、原告らと弁護団等のもはや跡には退けない前進あるのみの揺るがない、言い尽くせない覚悟があったからこそと、両掌が痛くなるほどに改めて拍手を送った。

 さて、こども家庭庁長官や首相らの文章を改めて読み直しているが、わけが分からない文体に見えてくる。文調は何とも奇妙な不思議な感覚を呼び起こす。全文が醸しだしているのは、主語がありそうで主語とはならない、主語でありながらそうではないように減衰させて作っているからだろう。行政府特有の文体なのであろう。優生保護法、強制不妊を立法したのは国会であり、その決済を実行した、あるいはしなければならないのは行政府である。強制不妊を実行したのは行政管らである。立法した国会が一義的には有責だ。優生保護法を断行したのは行政だが、なので同じく一義だ。しかも両者はいずれも実行主体としては実質的な検証も吟味もしていない。その筋で読めば、過去の立法であるとしても、過去の執行者行政を語らさせられる担当者の文章は、矛盾のない脈絡とするに不思議を残す。あるいは、事情に通じたものには感情をない文章となる。過去のことであり、今さら原告が強いられた長いながい人生の苦悩に心からたどり着くことまではましてあり得ない。今現在に行政府にある高齢者も、被害者原告から見れば年老いてはいない。仮に強制不妊の実行者達は探し当てたとしても、もはや昔物語を生き生きと語る人は何処にもいないだろう。

さて、この内容を分かりやすい記事にして、後を追ったのは朝日新聞の字面だ。この地は強制不妊術数が2番目を誇る強制不妊大県だ。何故か張り切って旗振り役まで組織し、大がかりに「愛」の県民運動まで語った県だ。今現在の自治体長が職員にふりかかろう事務負担を語るのはよいが、犠牲者たる県民は目に入らないということが逆に赤裸々になっているだけだ。繰り返しになるが、強制不妊賠償に係る事務手続きは国がやれ、民間に委託したら風の論立ては、非常に失礼だ。失礼極まりない。

強制不妊を実行した責はその昔の職員にあり、彼らが強制不妊施術を決定した、あるいは決定させた業務を自分の仕事ではなかったが厭々やらせられたとは言わないだろう。だとすれば、補償金等支給のお仕事はその昔の加害実行「当事者」として、今現在の自治体長と自治体に実行してもらわなければならない。

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1.     遠藤大志. 強制不妊「補償通知、一律は困難」−宮城・村井知事「丸投げ」国を批判、原告ら集会で訴え「救済は漏れなく、そして早急に」. 毎日新聞、2025116日、19.

2.     福留庸友. 強制不妊の補償通知、「自治体任せ」と批判、知事「国がやればいい」.朝日新聞、2025116日、17面.

 

3.     河北新報.強制不妊補償「個別通知しない」、宮城知事「プライバシー配慮変えず」.2025116日、3面。

4.     河北新報.強制不妊補償法が施行、被害者へ1500万円支給柱−仙台弁護士会、電話相談11件、きょう以降も開設.2025117日、2面.

 

5.河北新報.強制不妊補償の窓口開設、県きょうから「手続き、弁護士支援」、被害者らへの個別通知せず、知事方針に弁護団抗議−仙台.2025117日、10面.

 

6.阿部育子.プライバシー理由−補償回避許されぬ、強制不妊弁護団−知事発言を批判.朝日新聞、2025117日、21面.

 

7.阿部育子.強制不妊−弁護士が申請支援、「補償金支給法」きょう施行、国・自治体周知に課題.2025117日、27面.

8.阿部育子.県、強制不妊の補償金めぐり、個別通知方法「慎重に検討」、弁護団「当事者として対応を」、全国で2と目、請求期限5年.2025118日、25面.

 

 

9.藤井克徳(聞き手・森本美紀).強制不妊生んだ多くの「なぜ」検証を、つかめぬ被害実態−形変え続く政策、優生思想の過ち根絶へ−規範作って.朝日新聞、2025117日、19面.

 

 

10.毎日新聞.強制不妊補償法が施行、請求期限5年−全被害者救済課題.2025年1月17日、22面.

 

11.河北新報.首相謝罪「着実に補償」、強制不妊全国で申請始まる.2025118日、1面.

 

 

12.河北新報.強制不妊補償法施行「謝罪一人一人に」、支援団体など県に要望.2025118日、10面.

 

13.川野由起.強制不妊−原告らと面会、すべての被害者への補償を求める.朝日新聞、2025118日、29面.

 

 

14.総理の一日.石破総理は旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団等と面会しました.首相官邸ホームページ、2025117日、https://www.kantei.go.jp

 

15.内閣官房.障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部の設置について.閣議決定、令和6726日閣議決定、令和61224日一部改正.https://www.cas.go.jp>seisaku>kyouseishakai


16. 
内閣官房.障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(令和61227日障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部決定.https://www.cas.go.jp >seisaku>kyouseishakai