強制不妊、衆参調査報告書ー原案
① 河北新報.強制不妊、実態浮き彫り−施設入所条件に、他の手術と偽装−衆参が調査報告書原案.2023年6月13日、1面.
② 河北新報.調査芳香書原案−強制不妊実態明らか、「あまりにもずさん」−差別根絶へ被害検証必要.河北新報、2023年6月13日、26面.
③ 河北新報.強制不妊−盲腸と偽る・最年少は9歳の男女、報告書原案:宮城1744件−全国2番目.2023年6月16日、1面.
④ 毎日新聞.強制不妊−衆参報告書案、本人同意なく手術65%ー最年少は9歳−調査報告書原案骨子.毎日新聞、2023年6月16日、21面.
⑤ 高橋健次郎.強制不妊−国の報告書原案、立法/被害−国策浮き彫り.朝日新聞、2023年6月13日、1面.
⑥ 高橋健次郎、金子和史.強制不妊−不信なお、当事者へのアンケート「少ない」、国会でおわび、裁判は抗戦、朝日新聞、2023年6月13日、3面.
⑦ 強制不妊−調査報告書原案(要旨).朝日新聞、2023年6月13日、29面.
⑧ 朝日新聞.強制不妊ー国の報告書原案全文判明、9歳の男女に−盲腸手術時、伏せて実施.2023年6月15日、1面.
ベーテルブログ2023/06/13、06/15、06/16、08/30
7月1日の仙台てんかん医学市民講座EPLSの準備が差し迫ってきた6月中旬に、衆参議長宛、つまり国会宛てとなるらしい報告書の原案(とはいえ正本印刷直前という意味かな)が発表されたと、各紙面は待ってましたと言わんばかりの記事量を準備した。当方は記事を見逃さず、紛失しないよう保存するのがせいぜいであったのを思い出す。
全文は1400ページで、報道機関には概要7ページ分が公開された。1ページの分量は分からないし、まして文字数も分からない。重要な調査対象・分析方法の詳細はこの段階では不明であるが、調査結果の骨子も発表された。
2018年1月31日に、仙台で強制不妊手術の裁判が始まった。国会での対応は迅速であり、2019年には議員立法で被害者救済法が成立した。この救済法に則り、異例となる「国会による立法過程の調査」も開始された。その報告書がおそらく最終のものとして発表されるのであろう。
2018年の仙台での最初の裁判以来、うち続く優生保護法裁判の過程で次々に明らかになった強制不妊の実態は実況含めてほぼ出尽くしており、今回報告されるものに目新しいものはおそらくはないだろう。ただ、国会報告書として公式に残ることとなる。また、今風に当事者へのアンケート調査も行われ、報告書に残されたようだ。その陳述内容は、一言でいれば「あまりにもずさん」は法の執行であることがあらためて強調されることとなる。
記事⑤の朝日新聞は報告書の構成を、1編:「旧法の立法過程」、2編:「手術の実施状況」、3編:「諸外国の歴史と断種等施策」と紹介した。特に、1編の立法過程の吟味では「不良な子孫の出生を防止する」ことは「批判的な観点から議論がなされた形跡はなかった」と紹介していて、今後も原点となる重要な事実となる。
また、特に被害者救済のための一時金支払いの決定に当たって、時の宰相による「反省とおわびを盛り込んだ」談話が発表され、また国は国会の場で被害者へのおわびを繰り返してきたが、裁判原告への対決姿勢は一向に変えていない。ので、衆参議長、つまり国会への、また国民への報告は意味をなさないのでは、と思う。いや、国会と国はもともと違うか、といいように考えるかな。
報告書原案に骨子があり、4点。
① 本人の同意なし65%
② 手術手続きは相当に杜撰であることを認めた
③ 最年少者は9歳であること
④ 強制不妊術の枠外の放射線照射や子宮摘出も実施された
当方は、強制不妊の現場で今言ういわゆる同意という手続きがあったみなすことはできないと考えており、①はあらためての再確認で、65%どころか100%でしょうとする。ために、②も本来成立しない強制儀式に過ぎないし、③は疑わしく、9歳以下の幼弱児はいたと推測する。④はいつの時代にもあり得て、誤解も含めて張り切る方々というものは相応に登場する。
衆参の厚生労働委員長が両院調査室に作成させたとある。第三者性の対面を保つために、相応の第三者が関わったともある。とはいえ、集めることができたとされた資料の質に関する吟味はこれから検討されることになろう。
両院調査室なるものがまた、どのような役割を有し、どのように機能しているか、、その実情と実態もまた改めて議論されることになろう。 (Drソガ)
①
②
③
④
⑤
⑥ 朝日2023.06.13(3)
⑦朝日2023.06.13(29)
⑧朝日2023.06.15(1)