強制不妊巡る国会調査、
26道府県の提出資料は黒塗り
① 河北新報.強制不妊巡る国会調査:①26道府県提出資料黒塗り−「最大限」要請、ばらつく対応:②自治体側−個人情報理由に不開示、手術記録−救済の第一歩に.2023年8月18日、2面.
ベーテルブログ優生−2023/08/30
河北が貴重な記事を残してくれた。お伝えしているように、強制不妊を巡る国会調査だが、6月12日に原案、その一週間後6月19日に最終報告書が衆参議長宛に提出された。衆参議長宛あてとは、国会、つまり国民あての報告書となるはずのものだ。新聞各紙は相応に紙面を割いたので、紙面の紹介だけでも大量となった。その2月後、河北は8月18日に衆院調査局と自治体に重ねて質問と調査を重ねた結果を記事とした。よく整理された文章だ。
そもそも国会調査報告書は、強制不妊被害者救済のための一時金支給法による各自治体側への資料提出依頼に基づくものらしい。国会調査とはいえ、自治体への資料提供依頼なので、自治体側にとって強制不妊手術の資料提供は善意であって、その全容を開示する義務もなければ強制力もないらしい。回答すべき自治体側には、すでに個人資料の保管がない自治体が11府県あり。一方、個人情報を開示した自治体は36都道府県あるが、うち自治体側が判断して黒塗り資料としたのが26道府県、すべて開示したというのが10都県という。
当方は宮城県にいて、情報開示なるものが黒塗りであること、また優生保護法の手続きに関する資料の具体を知っているので、宮城県が個人情報含めて全て開示したとする自治体の筆頭名にあるのは、そもそも癇に障る。国会調査の対象が強制手術歴がしっかり残っている方のみであることにその理由があるから、宮城がその他の対象者も黒塗りしない県であることにはならない。とはいえ、多くの自治体が提出すべき資料への「黒塗り」作業を担当者に強いたことからみれば、情状酌量できなくもない。
国会調査であるにかかわらず、国法に準じて執行した自治体側に資料提供の基準があるというのも、そもそもが得心がいかない。国法だが、住んでいる自治体が独自の法解釈を下すことができると読める。山口県の例がよい例で、国会調査の項目が全て黒塗り資料になったとある。地域住民の個人情報を守りきるとしたらしいが、完全な問題のすり替えだ。
強制不妊手術の国会調査報告書なる文書は残りはしたが、「実務を担う自治体が.......どのような施策や運用がこうした事例を生んだのか」を検証することができなかった、ものとなった。
強制不妊術が実際に執行された事例は、知られているより遙かに多い。
(DRソガ)
河北 2023.08.18