2023/04/06
強制不妊:執行者−国、が上告
こども家庭庁が管轄
① 河北新報. 強制不妊−兵庫訴訟で国上告、除斥不適用の賠償不服. 2023年4月6日、23面.
② 河北新報. こども家庭庁あす発足、少子化対策の司令塔. 2023年3月31日、2面。
③ (稿後追補.2023/04/13)奥山はるな. こども家庭庁の初代長官に就任、渡辺由美子さん(58).毎日新聞、2023年4月13日、4面、ひと欄.
ベーテルブログ2023/04/06
直近でお伝えしたが、優生保護法による強制不妊訴訟での3月23日の大阪高裁判決は、原告(強制不妊の被害者)にとって内容が完璧かどうかは別として、裁判としては画期的な勝訴を引き継いだ。真っ暗闇の中で国が上告しないことを祈りたいなという幻視がほの見えてきたような。もちろん、そうなるとは誰しも期待していなかったが、4月6日までの上告期限の前日の昨日、型どおりの上告がなされ、その通りとなった。「兵庫訴訟」と呼ばれていることを知った。全国ニュースとしての取扱いを確認できないが、少なくも大阪中心に関西地域ではマスコミがすぐさまに報道してくれたことがSNSで分かる。当地仙台では、地元紙河北新報が「国上告」を早速に伝えている。ベーテルに届く全国新聞紙の紙毎日と朝日の仙台版には掲載がない。
やんぬるかな。高裁判決での原告勝訴4件目でも、国なるものは上告した。原告勝訴が幾つも重なろうと、個別裁判で国が上告しない選択はあり得ないが、強制不妊の被害者をこれでもかこれでもかといたぶり続けていることになる。国の体面を保つためなら強制不妊も知ったものかとなる。いかにも国らしくクールにも「除斥期間の解釈適用に関し、本件にとどまらない法律上の重大な問題を含んでいる」とコメントしたそうな。本件にとどまらないという常套文句を知った。国法の一貫性と例外なしからは、除斥期間の解釈適用が法律上の重大な問題を含むことは誰しも知っている。国法の整合性は、国刑強制不妊とて与り知らない、となる。
強制不妊国刑の「本件」は国が自ら下したものであり、公平平等の国家調整はこの場合本来の役割とはならない。まして、「本件」には国家正義はもともとない。とおの昔のできごととしたい滑稽な論議のための国体整合性はもはや求められてはいないし、誰にも望まれてもいない。国家意志たる優生保護法に対する、裁判への難癖に過ぎない。国なるものの空恐ろしいおぞましさだ。
今回の驚きは、国とはこども家庭庁となったことだ。こども家庭庁は鳴り物入りで発足したあの機関らしい。報道では随分と笑い顔を並べた明るい記事として取り扱われている。奇異を禁じ得ない。少子化問題って満面の笑みなのだ。厚生省組織の一つなのだろうか。こども政策担当大臣なる方がいる。これって、これまで聞いてきた少子化担当という大臣とは違うのか。概念的には直接にイコールとはならない、こどもたちの運命となりかねない「家庭」も接続されている。「家族」の方がこの国の国家哲学であったはずだが、今回は「こども家庭」になっていて、その念入りさは並大抵ではないらしい。
その「こども家庭庁」が正面に出てきた初っぱなのお仕事の一つに、何と強制不妊なる国家所業の後始末を請け負うらしい。唐突な偶然なのだろうが滑稽だ。
ところで、本件とは何だっけ、国刑強制不妊手術。
(Drソガ)