寒梅−2023
花ブログ・ベーテル2023/03/13
本日、白梅が満開となっていた。所在に向かう道々に幾つもの白い塊が並んで飛び込んでくる。いつもは、ちらほらと咲き始め、いつのまにか満開となっているものだが、今年は桜のように慌ただしく騒がしくもある風情となっている。
本来、別所にあるはずだったものだが、3日前の3月10日、スタッフ昇降口の一つに置いてある薄桃色の梅の花が一つ唐突にほころんでしまっていた。お運びするのに間に合わなかった。3月10日はベーテルの3.11/2011の第13回となる追悼式だ。桃梅が咲き始めたのを喜びながら、あの3.11の日は実に寒い日だったし,2011年も経験通りに時節柄、普通に寒かったと思い出すし、殊の外寒かった。路上で倒れているのが発見され搬送されたが凍死だった。無念の一語だ。
2011年の白梅の開花日を記録していないので、農事暦を用意していないのは悔やまれる。寒さの程を追えない。その昔、ベーテルの初期は、入院患児者たちと桜が満開になるのを待ちくたびれながら花見会に出かけてものだ。当時は毎年のように後ろにずれ込み、遂には4月17日にまでになった。桜公園で患児者たちと寒いねとささやきあった。昔は桜を楽しむことができる入院生活があったのだ。梅の赤白のどちらが先に咲くの、気温なの、日の長さなの、などの頭の面倒はどちらでもよかった。
やんだな、と思う。本当に薄気味悪い暖かさだ。暖かいのは心地よいが、いずれ怖ろしいことになる。
この数年でますます温暖となった今年、2023年、紅梅は既に散り終えようとしている。桃色の寒梅が後に続く。幸い名札が剥がれもせずに残っている。大切に大切に鋼紐を巻き直しきたからだ。さしてお世話できなかった梅鉢だが、日差しを喜び、本日13日は既にあっという間に競いながら咲く。おかげさまで、水を絶やさずに済んだのだ。
ベーテルでは花の水遣りは日常となっている。人目あっても通りすがりの職員昇降口や、部隊が一跨ぎして登場する3階ベランダの鉢類の置き場所は、存外に水遣りが抜けがちだ。このところ、滅多に枯らさずにすむようになった。水遣りがほぼ完全にルーティン化された。そうなるに30年近くかかったのだ。
水遣りはハンス・バーガー協会のベーテル園芸班の皆の力であるが、歴代の係長の采配が完熟した。一年中絶やすことなく花を愛でるに至るには並大抵のことではない。
いつの日にか、ハンス・バーガー協会が花屋稼業を商売の一つにしていて、それなりに彼らの工賃、つまり日当、だから小銭になることを願っている。だが、花はそうなるような稼業となることはないのが残念だ。
単に、ベーテルは一年中花に飾られている。手入れの行き届いた素敵なお宅以上の意味はない、いつものお洒落なのだ。
(Drソガ)