2023/03/07
強制不妊 除斥期間適用せず
仙台地裁も国に賠償命令
① 報道部・関根梢. 上記表題. 河北新報、2023年3月7日
② 強制不妊−原告ら喜び爆発、「ようやく」「やり切った」. 河北新報、2023年3月7日、27面.
③ 除斥期間の適用焦点、強制不妊訴訟・あす仙台地裁判決. 河北新報、2023年3月5日、25面
④ 平川仁. 強制不妊訴訟、国に賠償命令、仙台地裁. 朝日新聞、2023年3月7日、27面.
⑤ 平川仁、武井風花. これから胸張り堂々と、強制不妊−男性2人勝訴. 朝日新聞、2023年3月7日、21面。
ベーテルブログ2023/03/07
本日、河北新報が第1面に伝える。仙台地裁も国に賠償命令と。
優生保護法関連ブログが久しく閑話休題となっていることは極めて残念だが、当該最終の紹介は2022年10月15日であった。前宮城県知事浅野史郎も仙台高裁で除斥期間の不適用を訴えている。強制不妊を受けた原告側に対し、「『不良な』子孫の出生防止」のための強制不妊手術への訴えが、いわゆる時効、国に賠償責任を負う期限は過ぎているという民法の除斥期間の規定に、国はすり替えた。とはいえ、原告側は全国で5件目(高裁2例、地裁3例)となる仙台での原告勝訴を勝ち取った。優生保護法裁判の発祥地である仙台にある地元紙河北新報はこれをトップ記事で伝えた。新聞のニュースはありがたく、同社の意気込みに感謝したい。
お祝いしたい。強制不妊なる国刑たる優生保護法への闘いの勝利への兆しがある。
河北新報は3月5日の記事③で簡潔明瞭な解説を行っているので、参考にされたい。忘れないように再度強調する。優生保護法による強制不妊を憲法違反だとする裁判闘争は、2018年1月31日に仙台で始まった。幸いにも当方はその場に駆けつけることができた。それから5年。被害弁護団の新里宏二弁護士らに支えられて原告諸氏は不屈を貫いている。本業の臨床に夜遅くまでかまける生活を送るよりない当方だが、優生保護法なる国刑の行方を見逃すことはできず、ただひたすら新聞記事をスクラップする作業だけは貫いている。優生保護法のスクラップの数は相当なものに上るが、現場臨床医に過ぎないものがニュースを一々ブログ処理するのは難しく、半ばゴミの山となる。
さて、新聞はいわゆる開かれた社会の窓であるとされてきた。近頃もかなり危なそうな放送法への国家権力の一々の介入も新聞各紙は紹介を重ねている。同様に、新聞各紙は優生保護法については節を曲げない記事を丁寧に紹介し続けてきた。高く評価したい。問題の除斥論議は単に民法なる「時効」(国体)に過ぎなかろう。除斥期間不適用は国がひっくり返る事態だろうが、美しすぎる国が、その汚れた手によって強制不妊術を強いた方々にとって、国刑に時効なる概念があるわけはない。民法規定は憲法違反なる優生保護法とは次元が異なる。そんな裁判勝利だ。いずれ政治判断で圧される定めたろうと、この局所での一時の勝鬨を祝いたい。
さあ、仙台地裁の次に高等裁判所がどう出るかだ。地裁勝利にも楽観はなく、いわゆる控訴が待ち受けておろう。一握りの、担当法制官僚は国体の体面(法制)を繕うために何かを仕組むはずだ。彼ら国は、赤木俊夫さん裁判では禁じ手を打ち、「国が損害賠償を認める『認諾』により」事実の解明を抹消し妻赤木雅子さんを封殺した。
忘れてはならない。当時、都立病院の医局の黒板には、今日は誰にしようかという空欄があった。恐るべし強制不妊は、いとも簡単におびただしい数となった。この場合、国なるものに実は執行者などと呼べるものすらいない。だから、刑の意味すら知り得ようがない人々の無念などを想い図る執行者はいない。
転ずれば、気になって気になって仕方がなく、非常な苦になっているのが出生前検査なるものだ。
(Drソガ)