2022/11/23
皇帝ダリア−2022
花ブログ・ベーテル2022-11
ベーテルの開院記念日は11月1日である。丁度この頃に、皇帝ダリアの花芽が急速に膨らみはじめ、およそ11月10日頃に、花弁が一片ほろりと飛び出る。咲きほころべば、暖かい地方では一月以上咲き続け、満開を長く楽しめるだろう。
皇帝ダリアがベーテルに登場して10年を超える。「ベーテルカレンダー」にも「てんかんケア仙台」でも、また「夕べの集い」の壁画大作にもなった。
居場所はMRI室の隣の小さな花壇である。最初の年は球根(実は地下茎なのだが)として堀上げた。とても巨大なゴボウと思っていただいてよい。大きなプラスチック桶に入れ、幾分の水を張り、温室「ブルーメン」に置いたが、腐ってしまった。実は竹と同じ節があり、ここから芽出しできるのだが、すぐには信じなかった。竹の節から芽だしって、幹茎はノコギリで切るほどのあんな固いものからどうやって。そうなんです。そこが秘密で、実は木ではない草なんです。昨年は皇帝ダリアを気に入ってくれた知人に。刈り取った幹茎を数本差し上げたはずだが、美事に咲いてくれているはずだ。
それからは掘り起こさず、瓦と腐葉土で部厚く被い、凍りつく寒さから防いできた。在所は庭が凍りつくが(それでも一度は芽吹いたことがある)、ベーテルはまだまだ温暖だ。翌年には勢いよく芽吹いてくる。晩夏からぐんぐんと背丈高になり、この数年は廊下を昏くするほどに陽も通さない勢いだった。この勢いは花壇を占拠してきたため、春夏の球根の植え付けがどんどん少なくなってきた。今年はめっきり元気がない。球根類を植えつける土起こしが浅くなり施肥量が少なくなったせいもあろう。大事に世話をしていないことになっていたのだろうか。今冬は掘り起こしを含めて、しっかりとした土替えをしないと、来年の今頃は無念だけが残っておろう。
ところで、巷では皇帝ダリアはすごい人気だそうな。ベーテルのものは優に6メートルとなる。幹茎は片手では握れない太さになる。投稿者はあちらにもこちらにも皇帝ダリアが咲いているとお書きだ。エッ、いつの間に、皇帝ダリアだらけの異様となったの。知らなかった。私が知るのは、むしろ去年も一昨年もあんなに立派に咲いていたのに、今年はあるはずの姿がない残念、だけだ。そして加えて投稿者は、事もあろうに「怖い花」ともお書きで、異色なコメントを残している。当方の皇帝ダリアの馴れ初めは10年以上前のイタリア邸の庭にあるが、短日となる季節に咲くので、バラを愛でる散歩の寂しさがあって、皇帝ダリアの突然の眼前登場は偉容の一語だ。3メートルほどの小さな株だったのだが。5年ほど前から姿を見なくなった。脇道の急な階段にあったのもなくなった。放置すると枯れてしまうか、次代の庭師に嫌われたかなど、いろいろ詮索の寂しい散歩になる。
いずれ、皇帝ダリアはこの歳になるまで見たこともないアチャラモノなので、11月誕生のベーテルには縁起が良すぎる花となった。嬉しいのは気づいて褒めてくれる人が必ずいることだ。庭を飾るのにご執心の本物の花好きの女性たちに褒められているようで、ただ気恥ずかしいのだが。
皇帝ダリアはしかし、霜にあたれば一巻の終わり。そんな朝は黒く変色してしまった姿に、予期していたように持っていかれたと突然に諦めきれる、寒地の気風がよいドキドキ花だ。可哀想。
(Drソガ)