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ベーテルブログ 今週のこの記事一つ2022-03(29) 旧 優生保護法は「非人道的」 -東京高裁判決、国に賠償命令–

2022/03/15

ベーテルブログ

今週のこの記事一つ2022-03(29)

 

優生保護法は「非人道的」

-東京高裁判決、国に賠償命令–

 

  毎日新聞.2022年3月12日、第1面.強制不妊 東京も原告勝訴、高裁2例目 救済範囲拡大.

  毎日新聞.2022年3月12日、第31面.強制不妊「国は訴訟終結を」 原告側、政治判断求める声.

  毎日新聞.2022315日、社説.強制不妊で再び国敗訴、上告せず救済策の拡充を.

  河北新報.2022312日、第27面.旧優生保護法 東京高裁判決、進まぬ救済 見直し迫るー国、「連敗」に政治判断も.

  河北新報.2022年3月12日、第30面.強制不妊 国に賠償命令、東京高裁判決 旧法は「非人道的」.

  朝日新聞.2022312日、第32面.東京高裁、賠償請求「2024年まで」、国に2例目の賠償命令.

  大治朋子.火論:「法の下の平等」を問う. 毎日新聞、2022年3月1日.

  荒中.旧優生保護法国賠訴訟の大阪高裁判決を受けて一時金支給法の見直しを求める会長声明.202233日.Nichibenren.or.jp

 

 3.112011に起始する「てんかん市民の誓い−2022」の日、つまり2022311日、東京高裁は、222日の大阪高裁での原告勝訴に続いて、2例目となる原告勝訴の判決、つまり簡単に言えば時効なる、民法の除斥期間の適用を、何と国が被害者救済を定めた「一時金支給法」施行日の2019年4月24日から5年間経過するまでは、「猶予期間を与え、除斥期間の効果は生じないとするのが相当」として、国に賠償を命令した。長々しい文章となったが、「手術時を起算点とする除斥期間の経過だけで賠償請求権が消滅するのは著しく正義/公平の理念に反する」からだ。

 いずれ、東京高裁は「優生保護法は差別思想に基づき、極めて非人道的で憲法違反である」を基点とした。優生保護法を非人道的と断じたことも素晴らしいし、除斥期間なる民法規定の適用を制限したので、大阪地裁と同じく画期的だ。被害者を門前払いするために除斥期間を利用してきた国のご都合は排除された。不妊手術の強制という比類なき国家暴力も、漸く衆目に晒されてくることになる。

 この場合、官房長官が答える。「上告するかどうかも含めて関係省庁で検討する」に留まるが、大阪は既に上告しているに関わらずの、我関せずの最高権力の姿勢を貫いている。聞きたい、どなたとどなた様達が検討するのですか。これからは、この種の権力情報の公開こそが、私たちの要求となる。壁なる立場に立ちたがる様達を知らねばならぬ。強制手術を受けた人々は、既にお亡くなりだし、お残りの方々もご高齢で、時間がない。

 さて、毎日新聞の対応は、今回も第一面だ。そして、今日は社説だ。内容の視点、秀劣に関わらず、この取り扱いには「ありがたい」と感謝する。毎日の火曜日の「火論」で大治朋子は言う。「国の上告期限は3月8日。今回の(2月22日の大阪)判決に国が異議を唱えればーやはり障害者は差別され、十分に救済されることもないーという日本社会の集合的記憶はさらに強化され、その『経験知』は未来へと受け継がれるだろう」とした。興味深い用語を並べた。差別社会の集合的記憶、その経験知、と。さすが、専門記者だ。一方、法の実際的な運用論議は日弁連の会長声明の筋立てが参考になる。

 なお、優生保護はナチスが根元とされるが、本家はアメリカであるとする説が正しく、また学説上優勢であることを断っておきたい。当方がそんな紹介の日に恵まれるとは思っていないが。

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