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ベーテルブログ 今週のこの記事一つ2022-01(27) 優生保護法、逆転勝利―国に賠償命令

2022/02/22

ベーテルブログ

今週のこの記事一つ2022-01(27)

 

写真:優生保護法裁判始まる(仙台、2018130日、仙台弁護士会館)

 

優生保護法、逆転勝利―国に賠償命令

  朝日新聞.2022221日、第23面.明石市の条例制定

  毎日新聞.2022223日、第1面.巻頭全面記事、強制不妊―逆転勝訴.

  毎日新聞.2022223日、第6面.全面記事、「時の壁」より救済。

  朝日新聞.2022223日、第1面.強制不妊―国に賠償命令.

  朝日新聞.2022223日、第29面.全面記事、「20年の壁」声救済―強制不妊/逆転勝訴」

  河北新報.2022223日、第25面.強制不妊-初の賠償命令、大阪高裁判決.

  藤井克徳.「障害のある人の分岐点」―国際障害者年から40年―障害者権利条約に恥をかかせないで.20211124日.やどかり出版、埼玉.

 

 2022/02/22−20220222、いわゆるネコの日だ。ネコ好きの当方に、ネコが嬉しい朗報を持ってきた。大阪高裁が、優生保護法による障がい児・者への国家命令の強制断種執行に、漸く賠償命令を認める判決を下した。今回は詳細を触れないが、優生保護法による断種手術への訴訟は2018130日、仙台に始まった。その日、当方もその隊列にいた。優生保護法による強制不妊手術、正確には断種手術の犠牲者は厚生省把握ですら少なくとも約2万5千件にのぼる。訴訟は仙台を皮切りに、東京地裁、大阪地裁、札幌地裁、神戸地裁とうち続き、優生保護法が憲法違反であるとするところまで行き着きそうだ。が、国家による謝罪と賠償命令の判決に至るかどうかは不透明だった。一方、国会は比較的早期に20194月に救済法を成立させたが、審査は滞っており一時金支給ですら少数に留まる。4年を経て漸く、国が賠償すべきという高裁判決を得た。全国各地で行われている裁判が逆転勝利となっていくことを祈りたい。

 今回は加えて、一つの新しい情報。前日2月21日の朝日新聞は、明石市の「強制不妊広く救済、中絶の対象・期限なし、国より手厚い条例制定」を大きく取り上げていた。国家による強制中絶・断種の犠牲者へ、地方自治体が報いる。明石市のことだ。この場合、弁護士出身である、あの有名な泉房穂・明石市長の言葉は明快である。「被害者が高齢になり時間が限られるなかで、目の前の被害者の救済は急務。市民に最も身近な自治体ができるのは、条例という形で具体的な施策を示すことでした」と仰る。明日、2月22日の判決を前にした、優れた記事となっている。

 二つ目は、日本障害者協議会(JD)の藤井克徳代表が、前回ブログで紹介した著書「障害のある人の分岐点―障害者権利条約に恥を欠かせないで」において、優生保護法を、「悔やみきれない」障害児者問題、と表現していることが思い出された。凝縮した論考で、鋭い切り口で述べている名文だ。今回の判決があったとして、優生保護による中絶や断種手術の立法と行政執行が、ハンセン氏病施設などでは、そして精神病院でも含めて、施設長や曖昧決定で実行されていた事実は、この国が平気で行う行政執行の怖ろしさを警告している。

 とりあえず、今回の大阪高裁判決には励まされた。

                        (Drソガ)