2021/06/05、06/23
今週のこの1冊―特別寄贈2021-3(3)
荒中先生、日弁連会長から頂戴しました!
「COVID-19と人権に関する日弁連の取組−中間報告書−」
+新型コロナウィルス感染症関連法律相談事例収集集(2021年2月1日〜3月31日)
日本弁護士連合会.2021年2月発行、2021年3月補訂版発行、2021年5月発行冊子)。
日本弁護士連合会、東京. 販売価格なし.
6月5日、仙台てんかん医学市民講座EPLS-2021春期と合同開催となった仙台てんかん市民会議SCAPE-2021(第3回)の記念講演のため、昨年2020年4月に(奇跡的にと言ったら相当失礼かな)日本弁護士連合会会長に選出された荒中先生に、東京から仙台国際センター萩の間の演壇にzoom登壇(④)いただいた。SCAPE発起人の一人である、あの荒中、あらただし、です。
日弁連の会長の職は多忙などという生半可な言葉では言い表せないものであることは重々承知しながら(資料⑤)、無理矢理にてんかん市民会議にお時間をお割きいただいた。専門業者に委託しているに関わらず、zoom配信の初っぱなの数分間は遺憾ながら通信環境の技術的問題が発生してしまった。YouTube配信分は補正されたので安心している。お題はSCAPE-2019の講義に拠り「障がい児者の人生:誘う、寄り添う、支えきる」となった。荒中会長は障がい問題のプロだが、日弁連会長としてわずか任期2年の間に障がい問題の個別課題に具体的詳細に踏み込んで割けるお時間はほとんどないだろうと同情する。が、逆には資料⑤から推断できるように、ありとあらゆる人権問題を総体として鳥瞰できるお立場にある。だから、加えれば、敢えて、てんかん含めて「障がい児者の人生」を社会法的哲学で「生で」お語りいただく一時があってよい。会長職激務の中での、仙台国際センターでのコーフィーほっとタイムだ。ちょっとでよいので、ご本音を。
前置きが長くなったが、たまたま当方の机の上に日本弁護士連合会編の「揺れ動く保安処分―ヨーロッパの精神医療・保安処分を調査してー」(③―(高千穂書房。昭和58年6月20日発行。243頁。板橋、東京。1000円)がある。実はこの本は半年前にアマゾン経由で入手したものだ。保安処分に関する日本弁護士連合会の刑法「改正」阻止実行委員会(委員長―原秀男)は、ヨーロッパ視察調査の目的に、何よりも「調査の対象を政府機関に限ることなく、民間関係者や精神医療従事者との会談を行い、政府機関の保安処分担当者からの調査のみでは、どうしても一面的にならざるを得ない」との立場を表明している。当時としては、素晴らしい原点確認、更に望めば原点回帰である。日弁連が如何に丁寧に精神障害者の問題に、特に一つの象徴になる保安処分発法に対応しようとしていたかが分かる書物だ。
当方は現在、いわゆる優生保護法関連の書籍を素人的に蒐集している。若き日、(私たちしかいなかったので)私は保安処分反対を唱え続けていたので、関連してこの本も蔵書の一つに持っていた可能性があるが、失わざるを得なかった書物も少なくない。その一冊かも知れない。
さて、本題。日弁連はもちろん新型コロナCOVID-19 への対応を怠らない。表題の非売本の本書①―②を頂戴した。書名はCOVID-19 が筆頭にあるが、内容はむしろ後者「人権」集である。つまり、COVID-19もいずれ大きな「人権」問題となることを予告している。
さて、荒中新会長がこの一年間、いかほどのお仕事をこなされたかを垣間見ることができるのが、121頁から145頁までの関連会長声明、会長談話集(⑤の一部)である。荒中会長の日常業務の全てを網羅していはいないことは充分承知しながら、特に国家思想や土着宗教、つまり民族主義者と結託する世俗派からは執拗な攻撃の格好の対象となろう、一字一句にケチが付けられる運命にあるに違いない声明や談話は、決して長くはない作文作業ですら「胃に穴があく」ほどの神経を使うものだろうから、心から同情する。もちろん、凶刃も前提として恐れなければならない。国なるものは、元来善人の寄せ集めではない。
いずれ、COVID-19災禍はこれから何年続くか分からないとんでもない代物であるので、本書は貴重な報告書となる。中間とあるが、「中間」ではないだろうと臨床医は実感もし、予感もする。とはいえ、そんな貴重な情報を荒中、日弁連会長から頂戴できた幸せ者となった。
ベーテルホームページからYouTubeにアクセスなさってください。我らが荒中の肉声と逢えますよ。いずれ、地元もガヴァンなさっていただけるだろうから。 (Drソガ)
SCAPE-2021 講演中の荒中日弁連会長:2021年6月5日 仙台国際センター