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ベーテル花ブログ 36 ニセアカシア

2021/05/28 

 

ベーテル花ブログ

36 ニセアカシア

 

当方にも好きだと言える歌謡曲がある。西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」も一つで、離れない。

アカシアとはどんな花か、本当は見たことがない。長らく見てきた花はニセアカシアと知ったのはそんなに昔ではない。日本名がミモザというのも知らなかったわけではないが、この木と花がミモザだと教えられたことはない。いずれ、アカシアなるものがオーストラリアの国花であることは知っていた。のだが、当方が知るこの花は何とニセだって。学者風情の知ったかぶりができるのは、いかにも楽しそう。このニセのように、何の意味があってそんななのか分からないが、植物や花の名には、何とも気の毒なのが少なくない。

5月はトマトやキューリの苗の植え付けなどの定番の園芸作業で散歩する時間が持てない。5月中旬、それこそニセアカシアの花が満開となる。川端の小さな林は真っ白になる。新緑の季節を超えてしまえばすぐに、川風がしっとり和み、芳香で包まれる。おそらく、ニセアカシアが川道でないところで群生するなら、その場はむせかえってしまうかもしれない。気づかぬことはないので、上を見上げる。

さて、このニセアカシアは実は大変な厄介もので、あっという間に伸びて大きくなる。整備された快適な散歩道も、すぐに暗くなる。言いぐさでは女性が一人で美しく歩ける道ではなくなる。だからだろう、予算かけて定期的に伐採される。だったが、一昨年から、そうではない非常に不愉快な切り倒しが目立ち始めた。何の気遣いもなくニセアカシヤの幹が小汚く伐り取られて、残骸が醜い。

暖炉を設けた新築のお宅に招かれた。雨を避ける棚に幹や枝が綺麗に裁断されたニセアカシアの丸太が行儀よく並んでいる。ニセアカシアは暖炉に性が合うそうな。河原で伐採してよい許可も簡単に得ることができ、取材も受けたそうな。当地もそういう愛好家が多ければと羨ましかった。ところで、トゲがあるので、殊の外お気をつけての作業をなさってねが、ご挨拶となる。

花言葉は秘密の恋なそうな。河原に繁茂しているので、いくら頑張っても白だから気づく人は少ないし、ことさら花見でもない。無理にこの花言葉に得心せんとしても、膨大な白風景だから、秘密の恋の風情を偲ぶでもない。なので、いいえ、一房をしっかり抱いてあげてください。

ブルーインパルスが「絆」を演出する、物見遊山で三密の日曜日。

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