· 

今週のこの1冊202102−04(13) フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿5 原発のない未来が見えてきた

2021/02/22
今週のこの12021020413

 

フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿5

原発のない未来が見えてきた

 

反原発運動全国連絡会議編.20191125日発行. 130頁、緑風出版、東京. 1200.

 

ますます3.1120112021が間近だ。2011311日午後2時46分から早や10年となる。213日の238分の福島沖のマグニチュード7.3の爪痕は甚大だが、3.112011からみれば、たまたま運よく免れたとなる。余震が続く。2011では4.7にかなり大きな余震があったことが思い出される。

はてさて、「はんげんぱつ新聞」500号の刊行記念に本書「原発のない未来が見えてきた」は発行された。本書の後書きで、オナガワの阿部宗悦さんに再び会えた。宗悦さんは1978年、反原発全国連絡会議の初代会長を引き受けていたとのこと。当方は多摩の地にあり、半身を「てんかん」運動に預けており原発問題は消滅していた。若気の不徳の至りだ。また、彼が間違いなく黄泉の国からいまだ私たちを守ろうとしていることまで知った。

長い文章や完成された論考を張ることを本欄は目的にしていないが、一つだけでも話題を残せればとしている。第2章、東海村の村上達也元村長の次のように事実を記した。

「・・・・・・・ドイツのメルケル首相は五月に福島原発事故をみて脱原発を宣言し、早速老朽原発を停止させたというのに、この国は原発災害の只中にあり、原因究明もできていないというのに(九州電力玄海原発)原発を再稼働(何と2011年6月18ですよ、狂気以外の言葉を探せますか)させようとは。原発立地の首長としては驚天動地、全く許せない愚挙だ。腹は決まった。こうした国家で住民の命と財産を守り、郷土の自然、文化を後生につなぐには地方自治体の長が全面に立たねばならない。国家や大企業に依存していたら水俣のようになる。六月二十七日、NHK記者の取材で脱原発の意思を表明、それが七月五日、全国に放映された。その後、NHK特集とEテレ取材班による無人の地となった福島現地の映像がテレビで流されるようになった(余談だが、NHK特集もEテレもいい番組だった。安倍政権寄りの経営陣によって潰されたのは残念だ)。人影が消え荒れ行く福島現地の情景は、わが村に重なった・・・・・・・」

いずれ、この本が当方が片隅にもいないとみなされる医療の世界の人々に読まれることはまずないであろう。論文でもなければ学術書でもないし、功利書ではない。ながら、二度と会えない、二度と聴くこともできない内容だ。これを現場のルポルタージュと呼ぶ。当方が好む言葉では、「屋根裏部屋の宝」探しだ。もちろん金銀財宝はない。欲しいのは貴重な資料が屋根裏にあるのかないのかの確認作業だ。あったならばかほどの家捜し苦労もしがいがあったと、歓喜至極だ。

「はんげんぱつ新聞」は、スローガンを原発の再稼働を阻止し、原発のない未来を!としたのは、合理そのものだ。功利主義者は末代まで保証されるはずもない目の前のおいしいご馳走に与っている。     (Drソガ)

 

<目次>

まえがき

 深江 守(「はんげんぱつ新聞」編集委員)

第1章           脱原発こそが日本経済を救う

 談:金子 勝(立教大学大学院特任教授)

第2章 原子力安全協定の地域枠拡大始末―東海村村長の挑戦

 村上 達也(元茨城県東海村村長)

第2章           新潟県のはんげんぱつ検証体制

 武本 和幸(原発反対刈羽村を守る会)

第4章 原発のことは民意で決める

 多々良 哲(元「みんなで決める界・宮城」代表)

第5章 原発廃炉の安全を求める検討委員会

 宮下 正一(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)

6章 急速に拡大するするエネルギーの治山解消と地域電力

 深江 守(脱原発ネットワーク・九州)

7章 世界で加速するエネルギー転換

 大林 ミカ(自然エネルギー財団)

8章 「脱私的脱原発」考

 木村 京子(宮殿消費者株主の会)

「はんげんぱつ新聞」とはーあとがきに代えて

 西尾 漠(「はんげんぱつ新聞」編集長)