この本は著作意図がメディア主調にはもちろん、利権商売世情にも負けない。是非手にとってください。この1冊をお勧めしながら7冊目となったが、当方は紹介本の真髄をお伝えしたいと解説しているわけでもなく、また毛頭その気もない。こんな素敵な一冊がありますよ、目通しあれかしなのだ。
このフクシマ10年後は、後書きにあるように相当に約めた内容らしい。肉厚本の方がむしろ好ましいのだが。クエスチョン体裁の目次を示したので、どんなアンサーが書かれているか、楽しみにお読み下さい。これからも目次の紹介がその本の真髄を伝えるかも知れません。なお、筆者は相馬出身の薬学者で、徳島大学教授を経て、日本毒性学会生体金属部会長とのこと。
3.112011がもうすぐ10年だ。急ぐ。 (Drソガ)
<目次>
はじめに
第1章 福島が普通の生活を送れる時(東京電力原発事故のあとに)
1 「復興は道なかば」どころか
2 長期化によって増える原発事故による震災関連死
3 震災関連死の要因(どのような過程で関連死に至るのか)
4 原発事故後、福島県で増加する自死者
第2章 一問一答で考える「どうなっている、どうする、私にも関係あるの?」
1 多くの地域の避難指示が解除され、復興は大きく進んだので、福島県はもう見通しが立ったのではないか
2 避難指示区域はどんな分類があり、どんな町が対象か?
3 福島原発において、放射線汚染により住民が被曝する可能性はもうないのか?
4 どれぐらいの住民が自分の故郷・家に住んでいるのか?
5 福島原発事故を終わらせるために、21.5兆円の廃炉の費用は今後増えることはないのか?
6 廃炉費用は、通常運転後の原発と事故発生後の原発でどれぐらい違うのか?
7 全国の原子力発電はどうなっているのか?
8 福島県の米は汚染されているか?
第3章 住民にとってはふるさとの復興
1 分断されていく住民
2 実態に合わない国・福島県発表の避難者数
3 避難者数を知る意義
第4章 今、福島で起こっていること
1 放射性汚染水の海洋投入性分計画
2 空間放射線監視モニタリングポスト撤去計画
3 「避難指示解除と賠償打ち切り組み合わせ」の進行
第5章 今も、そしてこれからも、全国で起こり得ること
1 放射性汚染度を全国で再利用する計画
2 緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク(SPEED1)を使わない決定
第6章 国と東京電力の施策が住民の復興に及ぼす影響
1 東京電力は中立的な原子力損害賠償紛争解決センターの仲介案を6年間拒否し続けた
2 原子力規制委員会の独立性に疑問符
第7章 住民はどのように思いを表現・行動しているか
1 国と東京電力を断罪した生業裁判
2 「平穏生活権」を認めた生業裁判
第8章 住民は福島県の真の役割発揮を望む
1 福島県民の声の力が福島第2原発の廃炉方向へ
2 廃炉決定は全国原発ゼロへの道の発信?
3 福島県はどうしようとしているのか
4 県知事が避難県民を訴える・国が先導
5 今後どうするのか
おわりに